美少女官能小説■site:TAMARL

てんびん

秋の夕方の各駅停車。
乗客の少ない車内。暖房の時期ではないが西日が射しこみ、ほどよく暖かい。
読みかけの「美少女肛門地獄」もさすがに三回目。
うつらうつらする。

ターミナル駅で急行の通過待ち。
ドアが開き、冷たい風が吹き込む。目がさめる。
僕の正面で、中学生ぐらいの少年が本を読んでいた。
ドストエフスキー「罪と罰」。

なんとなく、「美少女肛門地獄」をカバンにしまった。

しかし…。
色白の顔立ち。僅かに茶色がかった髪が夕日を受けている。活字を追う大き目の瞳、まばたきにつれ長いまつげが上下する。くせなのか妙に赤い唇を時おり噛んでいる。
…いるもんなんだなあ。美少年。

僕が書くような小説にでてくる「美少女」は、もちろん、虚構の創造物に過ぎない。
だからといっては変だけれど「美少年」なんてのも、現実には存在しないものと思っていた。

いたよ、目の前に。だってドストエフスキーだぜ、おい。

なんか、おかしい。
視線を外すことが出来ない。
なぜだ。
僕は。

反対側のホームに急行が入ってきた。
少年は、ドストエフスキーをしまい込み、立ち上がった。

え、行っちゃうの。

次の瞬間だった。
少年がゲップをした。

僕は、おもわず笑った。

少年はちらりと僕を見て、電車を降りて行った。
ドアが閉まる。

僕は「美少女肛門地獄」を開いた。



Nov 01 2000